デロイト トーマツ独自の「スマーターデータガバナンス・フレームワーク」

――デロイト トーマツでは、データガバナンス態勢の構築をどのように支援していますか。

貞本 私どもでは、下の図に示した「スマーターデータガバナンス・フレームワーク」に基づいて、バランスの取れたデータガバナンス態勢の構築と継続的なデータ利活用の促進を支援しています。

 このフレームワークは、「戦略」「統制」「組織・人材」「プロセス」「技術」「品質」という6つのカテゴリーと29のサブカテゴリーから構成されています。サブカテゴリーは、プロセスで言えばプロセス管理やデータ要件定義、データライフサイクル管理など、組織・人材で言うとデータリーダーシップ、文化組織構造、スキル/トレーニングなどです。各項目は、企業がデータ利活用を推進するに当たり、実行すべき重要な取り組みであり、進捗度をチェックするうえでのポイントともなっています。

 ここで特に強調しておきたいのは、データ利活用の土台となるデータ品質の重要性です。AIもデータサイエンスも、データが命であることは言うまでもありません。先ほど染谷が申し上げた通り、データのコード体系や入出力の形式がばらばらだったり、データの鮮度管理ができていなかったり、つまり“汚れた”データが混ざっているデータベースは使い物にならず、どれだけ多くのデータサイエンティストを集めても、先端のAIを導入しても、そこから価値を生むことはできません。

 私ども独自のスマーターデータガバナンス・フレームワークは、信頼に足るデータ品質の維持・向上を重視して設計したものであり、企業が目標となる品質基準を達成するうえで大いに役立つものとなっています。

染谷 AIのガバナンスも重要な経営テーマです。特に生成AIは生産性向上の強力なツールになりえると同時に、その利活用にはさまざまなリスクをはらんでいます。私が危惧しているのは、欧米に比べると日本企業はこのリスクに対する視点が弱いのではないかということです。

 自動車と同じで、便利なものにはリスクがあります。新しいテクノロジーの利用には、いままでにないリスクを伴う可能性がありますから、それをどうとらえ、管理するかというガバナンスが欠かせません。先進的なAI活用を行っている企業ほど、AIガバナンスの整備に着手し始めており、データガバナンスと同時に取り組む必要があると思います。

貞本 AIやIoTなど、新たなデジタルテクノロジーの導入が進めば進むほど、データ量は幾何級数的に増えます。データ品質の管理を含めたデータガバナンスを放置したままデータ量が増えていくと、有効なデータ利活用のハードルが上がりますし、リスクも高まります。

 私どもデロイト トーマツは、一人ひとりの専門家、それぞれの専門性を持つ組織が、その知見を融合させ、一体となってクライアントを支援するMDM(Multi-disciplinary Model)というコンセプトに基づいてグループを運営しています。

 データガバナンスに関しても、それを専門とする私のチーム、アナリティクスを専門とする染谷のチームをはじめ、スマーターデータガバナンス・フレームワークの6つのカテゴリーに結びつく各専門チームが融合して、ガバナンスが期待される効果を発揮するまで支援しています。

 各チームからさまざまな先行事例をご紹介することもできますので、お気軽にご相談いただければと思います。

*デロイト トーマツ グループのデータガバナンスサービスとアナリティクスサービスについて、詳しくはこちら。
データガバナンス - デジタル変革時代の今こそデータガバナンス/マネジメントの拡充を(デロイト トーマツ グループ)
デロイトアナリティクス - デロイトがグローバルに提供するアナリティクス活用のコンサルティングサービス