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宇宙産業の夢に虜になった人々
20年前、若い記者だった私は、岩山を越えてサウスダコタ州のバッドランズ天文台を訪ねた。恐竜を絶滅させたような殺戮小惑星を米航空宇宙局(NASA)が発見・追跡する手助けをするために、アマチュア天文家のロン・デイビグが建てた施設である。
彼は私を迎え入れると、望遠鏡を冷却するためにドームを開いて寒い夜空に向けた。機材が温かいと空気に熱の乱れが生じて、視界がぼやけるのだと彼は説明した。「夜、星がきらめくのはそのせいだ。ロマンチックな気分にはぴったりだけど、天文にはあまりよろしくないね」
クランクを回してドームを開き、デイビグは明晰な視界で空を観察した。しかし、今回紹介する新著が語るように、宇宙探査とその周辺に築かれつつある経済に魅了された人々にとって、ロマンチシズムのレンズの曇りを拭い去ることは必ずしも簡単ではない。