間接材の品目は、消耗品やIT機器といった物品から、ビル警備や清掃といったサービスまで多岐にわたるが、Coupaは、一つのプラットフォームですべてを注文できる。しかも、まるでオンラインショッピングのような操作感で注文ができるので、ユーザーにとっては使いやすく、業務効率化につながる。購買の申請や承認、発注、受領、請求といったプロセスがすべてペーパーレスで完結するデジタルプラットフォームならではのメリットがある。
小川氏は「使いやすいプラットフォームでなければ活用されないので、業務効率化が進まないだけでなく、肝心の取引データもたまりません。ユーザビリティの高さは重要なポイントだったと思います」と振り返る。
利益に直結する重要課題 経営層は“自分事”として認識を
三菱重工は2018年に米国でCoupaを導入し、2019年に欧州、2020年には日本と、段階的に広げていった。現在、国内約50社、海外では約30のグループ会社が利用している。
「日本導入時には、各部門やグループ会社の間接材調達を本社が一括して行う方式に変更しました。集中購買を促すため、インフラ導入だけでなく調達プロセスも刷新しました」と白神氏。

バリューチェーン本部
SCM部 部長
白神 晋氏
Susumu Shiraga
新しい間接材調達のプロセスでは、各部門やグループ会社からの購入要求から発注、請求、会計システムへの連携までCoupa上で完結できるように変更した。従来、紙やEメールなどで行われていた請求書のやり取り、会計システムへの手入力作業などがCoupaに集約され、ペーパーレス化、業務効率化にもつながっている。「Coupaに蓄積された取引データをもとに、同じ品目でも、どの調達先が最も安く、どのグループ会社が最もリーズナブルに調達しているのかといったことを分析し、全体最適化を図っています」(白神氏)。
こうした取り組みの結果、三菱重工は間接費支出を市況平均に比べ6.9%も削減できたという。白神氏らは、蓄積された取引データをもとに、経営層や現場向けのリポートも作成している。調達先や調達方法を見直せば、どれだけのコスト削減や業務効率化が見込めるのかを知ってもらうためだ。
「経営会議においても説明を行っているので、グループ全体の間接費の規模や、削減効果に対する経営層の認識は深まっています」と白神氏は語る。

バリューチェーン本部
SCM部 調達企画グループ
主席部員 PMP
小川 亮氏
Akira Ogawa
Coupaには、二重支払いや決済通貨の間違いなどの異常値の発見機能も搭載されている。そうした情報まで可視化して改善を加えられる点も、経営層は高く評価しているという。
「企業経営において、膨大な調達データにスポットを当てたガバナンス強化やコスト削減の取り組みは非常に重要ですが、その事実に気づいている経営者はまだ多くないのかもしれません。間接費の領域が、調達改革の重要性を経営層に証明できる試みの一つだと考えています」(白神氏)
「売上げが伸びにくい時代では、間接費支出の抑制が利益に直結する重要な経営課題です。環境に優しく、人権などに配慮したサステナブル調達を実現するためにも、どの部門が、どの調達先から、何を買っているのかの可視化は欠かせません」(小関氏)
間接費支出の管理・統制は、経営層が“自分事”として取り組むべき課題だといえるだろう。
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