サマリー:採用の場面で多くの企業に利用されている「総合適性検査SPI3」だが、実は人材育成やマネジメントにも役立つ。「個」を生かす職場をつくれる活用法など事例を含めて紹介する。

「総合適性検査SPI3」は面接だけではわからない応募者の性格・能力といった資質を測定するツールとして人材採用の場面で多くの企業に利用されている。しかしそれだけではなく、「SPI3」には人材育成やマネジメントにも役立つ側面があるのだ。リクルートマネジメントソリューションズの園田友樹氏にその理由とSPI3の可能性を聞いた。

適性検査の知見をマネジメントに生かす

 せっかく採用しても短期間で離職してしまう。部下や従業員の成果や能力をどのように引き出せばよいのかわからない。従業員を適材適所に配置してエンゲージメントを高めたいが本人の希望・本音が見えない──。マネジメントの現場からはこんな悩みの声が聞こえてくる。

「コロナ後の経済の復活もあり、現場の人手不足感がより顕著になっている現状があります」と、リクルートマネジメントソリューションズ(リクルートMS)HRアセスメントソリューション統括部統括部長の園田友樹氏は“悩み”の背景をそう説明する。

リクルートマネジメントソリューションズ
HRアセスメントソリューション統括部 統括部長 園田友樹

2007年株式会社リクルートマネジメントソリューションズ入社。適性検査をはじめとした採用領域の営業に携わった後、SPI3などアセスメント商品開発に携わる。18年より開発部長として、商品開発や品質管理までを担当。21年より現職。

 さらに長期目線では、より厳しい状況が見えている。労働人口の減少や雇用の流動性の高まりを背景に、「ほしい人材を獲得すること自体が難しくなっています。それに加えて若手社員の価値観が変化し、手を尽くして育てても転職してしまうことさえ珍しくありません」。そこへ、コロナ禍によって急速にテレワークが普及し“社員の顔が見えない・本音が見えない状態”でのマネジメントの難しさが加わった。 

 このような複合的な要素が重なって、「人材マネジメントが非常に難しくなり、上司の負担が相当増えている」と園田氏は指摘する。そのため「会社や上司は一律の指導、一律の人事施策ではなく、個人のやりがいや個性、強みに着目した関わり方をしていかないと社員が離れてしまいます」。