支援を求めなければ
悲惨な状況に追い込まれる

 マーサは大きなストレスを抱えていた。自社のサプライチェーンがひどい混乱状態にあり、彼女のチームは通常以上の時間を割かなければならなかった。

 部下たちは非常に優秀な人材ばかりであったが、その中の誰かにこれ以上頼る気にはなれなかった。「彼らにはすでに、やるべき仕事がたくさんある。これは自分の仕事だ」というのがマーサの考えだった。上司に対しても同じ姿勢だった。上司に助けを求めれば嫌がられるだろうと考えて、彼女は助けを求めようとはしなかった。

 そのうえ、私生活でのプレッシャーもあった。子どもたちはまだ幼く、いろいろな面で世話をする必要があったが、夫にこれ以上協力してもらうのは難しいとわかっていた。夫の仕事は過酷で、いつも疲労困憊していた。また、彼はスポーツに打ち込んでいて、それがリラックスするためには必要なことのようだった。だからこそ、自分が家族の面倒を見て、家事を担当するほうが簡単だと思えたのである。