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継続的な消費が顧客維持率を高める
企業幹部に、プライシングが製品やサービスの需要に及ぼす影響について尋ねると、一様に確信に満ちた理路整然とした答えが返ってくるだろう。しかし同じく、消費に及ぼす影響、つまり顧客が代金を支払った製品やサービスをどれくらい利用するのかという問題については、せいぜい控えめな反応が関の山である。
このようにマネジャーは、価格を設定するに当たって、めったに消費の問題を考慮しない。ただし、この見落としは高くつく可能性がある。
次の例を考えてみよう。友人同士であるメアリーとビルが、近所のスポーツ・クラブの年間会員になった。ビルは年会費600ドルを一括払いし、一方メアリーは毎月50ドルずつ支払うことにした。さて、これら2人のどちらがスポーツ・クラブを定期的に利用するだろうか。そして、次の年に更新する可能性が高いのはどちらだろうか。
ほとんどの合理的選択理論が、メアリーとビルの利用率、更新の可能性は同じであるとするだろう。つまり、2人は同じ便益に同じ金額を支払っているからである。
しかし我々の調査によると、メアリーがスポーツ・クラブを利用する可能性のほうがずっと高い。ビルはというと、加入したばかりの頃は金額に見合った分を取り戻さなければならないと感じるが、この動機づけも600ドルを出費したという記憶が遠のくにつれて薄れていく。
一方のメアリーは、毎月会費を払い込まなければならないため、その出費を意識し続ける。そのため年間を通じて、支払額に見合った分を取り戻そうと意識するため、ビルよりもずっと定期的にスポーツ・クラブを利用することになる。