パーパスドリブン・リーダーシップ

 4Xの核となるのが、パーパスドリブン・リーダーシップである。変革を起こし、それを支えるのは“人”だ。企業のパーパスやアイデンティティが、社会や顧客、従業員など多様なステークホルダーの求心力を高め、BMXを牽引する。

 変革の志を持つチェンジリーダーは、「パーパスやアイデンティティを研ぎ澄まし、ステークホルダーの価値をつなぎ合わせた変革ストーリーを起点に、自社の製品やサービスが社会課題解決のプロセスに組み込まれた事業をデザインすることが求められる」(赤荻氏)のである。

顧客体験の変革(CX)

 顧客企業や生活者もまた、さまざまな社会課題に直面している。顧客が抱える課題を自社の事業を通じて解決し、真のパートナーとなるには、顧客体験価値の向上と社会課題の解決を両輪とする変革アプローチが必要だ。

 不動産ディベロッパーを例に取れば、一つの建物の開発だけでなく、街全体で二酸化炭素や廃棄物の排出を減らす仕組み・仕掛けをビルトインしたり、安全で快適なモビリティのインフラを構築したりするなど、そこで暮らす人、働く人の体験価値と環境・社会の持続可能性の向上を、市場や産業全体として実現できるよう構想していくことが重要だ。そのためには、「モノとデータを活用して社会や顧客とつながり、その課題をバリューチェーン全体で解決するビジネスモデルを構築することが欠かせません」(赤荻氏)。

オペレーションの変革(OX)

 モノとデータを介して顧客とつながっても、設計、生産、販売といった自社の各部門のオペレーションとデータがつながっていなければ、BMXは実現できない。顧客を起点としてバリューチェーン全体をつなぐには、「デジタルツインやAI(人工知能)などの先端テクノロジーの活用を前提としてオペレーションを高度化する必要があります」(赤荻氏)。

 たとえば、サーキュラーエコノミー型ビジネスモデルに変革するには、顧客による製品の使用状況や製品の経年変化などをモニタリングして、そのデータを製品の企画・開発といった上流プロセスにフィードバックし、適切なメンテナンス・リサイクル・リユースが可能な製品設計、オペレーション設計を行うことが求められる。