勅使川原 マーケターの使命は、短期的な販促の成功だけではなく、消費者ニーズの変化をとらえ、長期的に競争を勝ち抜くには「どのような組織をつくり、戦略を練るのか」「どのような製品を開発すべきなのか」など、向き合う課題は多岐にわたります。それらすべてを実行するために、一つひとつていねいに検討していくことが本質的なマーケティングの課題と向き合うことです。つまり、永続的に企業を成長させることをゴールに動けているかが最も重要なポイントです。
マーケターの多くは、企業から要求される目先の売上げや集客目標を達成するため、短期的な施策に専念する場合があります。もちろん必要なことですが、それだけではなく、企業のマーケティング活動を長期的に支えるために、組織や戦略・競合環境など全体像を俯瞰し、5年後、10年後も市場に必要とされ続けるためにどうすべきかを念頭に置いて、コミットしながら、業務を遂行するのが、本来のマーケターが果たすべき役割だと思うのです。
佐々木 同感です。リサーチの側面からも、これまで接してきたマーケターの方々が、短期的なタスクに忙殺され、しっかりとあるべき課題に向き合えていないケースはたくさん見てきました。

―― 近年は、大手コンサルティングファームもマーケティング領域の支援を始めています。
勅使川原 より大局的で、長期的な視野を備えたマーケティング支援が期待できると思います。私自身、外資系コンサルティングファームに在籍していたので理解していますが、コンサルタントの方々は本当に優秀で、クライアントが抱える問題をすべてテーブルに乗せ、整理し、必要な課題設定を行い、実行に必要な適切な体制や戦略設計、オペレーション全体の管理、経営陣への報告や提言など、高度な知見や実行力を幅広く発揮するプロフェッショナルです。
しかし、近年はコンサル市場が大いに盛り上がっており、仕上がっているコンサルタントの供給が間に合っていないようです。
マクロミルとのタッグで新会社を設立
―― そのような背景を踏まえて、エイトハンドレッドが設立されたのですね。
勅使川原 はい。エイトハンドレッドの前身は、私も創業メンバーだったマーケティングを専門としたSOUTHというコンサルティング会社でした。
日本のマーケティング領域におけるさまざまな課題を解決し、真のマーケティング支援を実践するためには、人材とクライアントとのパイプラインの強化・拡大が必須と考え、マクロミルと経営統合して設立しました。マクロミルはデータの取り扱いに優れており、データ領域の専門家は本当に優秀なメンバーが多いのです。
―― マクロミルは、どのような経緯で経営統合を決断したのでしょうか。