人間関係だけでは事業開発にはつながらない

 グローバルに展開する法律事務所のベーカーマッケンジーでは、自己評価書の提出が例年の決まりである。ほとんどの法律事務所では、フィー・アーナー(クライアントに相談料を直接請求する弁護士)が自分の業績を振り返って年末の自己評価書を作成するが、ベーカーマッケンジーのやり方は違う。

 パートナーには各自の業績報告だけでなく、専門分野の異なる他のパートナーをクライアントに紹介するなど、同僚とうまく協働した事例を具体的に挙げてもらう。パートナーがクライアントに同事務所の幅広いサービスを紹介し、新しい関係を築き、その過程で売上げが伸びることを期待しているのだ。「ベーカーマッケンジーでは協働が極めて重要だ」と、北米担当CEOのコリン・マリーは言う。

 パートナーは年末の報告書に協働事例を記載するように言われることがわかっているので、年間を通じて事務所全体で他の弁護士と協働しようとするインセンティブが働く。ベーカーマッケンジー北米オフィスは6年前に協働型アプローチに切り替えて以降、売上げが40%以上増加した。