民間企業に介入する各国政府の狙い

 世界中の政府が、産業政策を通じて民間企業に介入する度合いを強めている。市場の力だけでは達成できそうにない目標に、自国の企業を到達させることがその政策の狙いである。その結果、自動車メーカーやエネルギー会社、半導体メーカーといった政策の対象となる業界では、事業環境が劇的に変化する可能性が生じている。

 産業政策によって新たなコストが発生するかもしれないし、経済的なインセンティブが提供されて、R&Dや生産設備への投資が変化するかもしれない。サプライヤーのネットワークや貿易相手国の変更が奨励されることも考えられる。

 このような介入が存在しなかった市場で育ってきた経営幹部はいま、これまで経験したことのない環境に直面しているといえる。本稿では、産業政策によるアプローチの概要を示し、それらに経営幹部が対応するためのフレームワークを提示する。