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2007年のCEO就任
2007年、私はアドビ創業者の故ジョン・ワーノックとチャールズ・ゲシキーに役員会議室に招き入れられ、CEO就任を要請された。計り知れない感謝の気持ちを抱くとともに、畏怖の念をも覚えた。
デスクトップパブリッシングを誕生させたポストスクリプト(PostScript)から、文書のデジタル化を担うPDF、画像編集のフォトショップ(Photoshop)に至るまで、アドビは社会に多大なインパクトをもたらしていた。その組織の統括を任されることは、一生に一度のチャンスだ。アドビはイノベーションの航路を照らす灯台である。創業初年度から黒字を続けており、その年の売上高は31億6000万ドルに上る見通しだった。
今日、アドビは2万9000人以上の従業員を抱え、年間の売上高は180億ドルを超える。「世界を動かすデジタル体験を」というミッションの下、数十億に上る顧客──個人で活躍するアーティストや小規模企業、そしてコカ・コーラやナイキ、ファイザーなどのフォーチュン500の企業──がデジタル体験を想像し、つくり出し、提供できるようになった(『ハーバード・ビジネス・レビュー』〈HBR〉とも一緒に仕事をしていることを開示しておく)。