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ミッド・キャリアの憂い
有能でやり手のビジネスマンやビジネスウーマンだが、仕事への情熱を失い、毎朝重い気持ちで出社しているのに、出口が見えないまま身動きが取れないでいるという話はだれもが知っている。一方、著作活動に専念するために弁護士の職をなげうったり、オモチャ会社を始めるために会計事務所を辞めた会計士など、これまでとはまったく違うことをするために20年来のキャリアを捨てた人の話も、多くの人が見聞している。
自分に合った仕事をしているのだろうか。それとも方向転換すべきだろうか──。これは、今日のミッド・キャリアのプロフェッショナルにとって最も切実な疑問の一つである。
思い切ったキャリア転換を考えている人は言うまでもなく、実際にキャリア転換した人の数はこの10年間で急増しており、いまも増え続けている。しかし、変化を切望しつつも同じ職にとどまっている人と、ミッド・キャリアのある時点で新たな充足感を見つけようと飛躍した人との違いは、実は一般に考えられているものとは異なっている。
初めに、次の例を見てみよう。
スーザン・フォンテーン(本稿で紹介する他の人々同様、仮名である)は、一流コンサルティング会社のパートナーとして同社の戦略推進部門のトップであったが、自分の仕事に充足感を得られず、この職をなげうった。
この元経営コンサルタントは、将来の方向性をじっくりと考える時間を持てなかった。というのも、親しいクライアントから「フィナンシャル・タイムズ100企業」の一社の経営企画部門トップの職を提示され、それを受け入れたからである。そもそも転職の心積もりはできており、逃すには惜しいチャンスであると考えたのだ。