結果はもちろんだがプロセスにもこだわる

 ロンドン市警のある警官が、一人の女性にUターン違反の切符を切った。その女性がどこにもUターン禁止の標識がなかったと抗議すると、この警官は道路からは見えにくい折れ曲がった標識を指差した。怒った女性は、裁判に訴えることを決意した。

 ついに審判の日がやってきた。彼女は申し立てを行うのが待ち遠しかった。ところが、彼女が自分側の事情を話し始めようとしたところ、裁判官は彼女が話そうとするのを制止し、即座に彼女の言い分を認める裁定を下したのだった。

 彼女はどのように感じただろうか。自分の正当性が認められたと納得したのか。勝利に、あるいは満足感に浸ったのか。いや、実は彼女はいらいらを募らせると共に、ひどくみじめな気持ちを感じていた。「私は公正さを求めてきたのに、裁判官は何が起こったのか、私に説明させてくれなかった」と不満をこぼした。言い換えれば、結果には満足だが、そのプロセスには納得できなかったのである。