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情熱とコミットメントをいかに持たせるのか
人を動機づける秘訣などない。そこに必要なのは、現況に対する曇りや偏見のない理解、個人の、あるいは集団においてうつろいやすい人間性への洞察力、適切で無理のない期待と目標の設定、有形無形のインセンティブのうまい組み合わせなどである。言い方を変えれば、熟慮と精勤である。組織が難局や危機的な状況にある場合、その課題とそれに伴う利害は、さらに深刻なものとなる。
マネジャーが部下を奮い立たせようとする際に直面する問題は、多様かつ複雑である。やる気のレベルややりたい方向性がそれぞれ異なる個人や集団をどのように扱うのか。数百、数千の人々から成る組織の話はさておき、たった一人の行動にいかに影響を与えるのか。特に困難な状況下において、いかに人々に情熱とコミットメントを持たせるのか。
このような問題に、現場ではどのように対応しているのかを探るため、9人の実業界のリーダーに加えて、高校教師、海底探検家、犬ぞりレースのチャンピオンたちの話を聞いた。個人やチーム、組織を動機づける時、どのような難問に直面したのかを、語ってもらった。
[Opinion 1]Start With the Truth
現実を直視させることから始める
カーリー・フィオリーナ(Carly Fiorina)
ヒューレット・パッカード 会長兼CEO
私にとって最も困難だった動機づけといえば、ヒューレット・パッカード(以下HP)の過去の偉業に敬意を払いながら、前進するために再生を図るという任に就いた時のことである。
まず、社員に現実を直視させる必要があった。そのうえで、高い目標を設定し、現実的なアプローチで現状からその目標に向かわせることだった。