(写真左)dentsu Japanチーフ・ダイバーシティ・オフィサー 口羽敦子(くちばあつこ)氏 (同右)dentsu Japanチーフ・ブランディング/カルチャー・オフィサー 吉羽優子(よしばゆうこ)氏

「障がい者雇用やLGBTQ+の取り組みなども積極的に進めてきました。障がい者雇用については法定雇用率達成はもとより、自治体と農福連携なども新たに挑戦中。また、男性育休取得率は、電通ジャパンで64.1%(2022年)、電通で94.3%(2023年)です。これまで、各社のやり方でやってきたことを、今後はDEIのレベルを上げるために、グループ全体で取り組む必要があるのです」(口羽氏)

 具体的な取り組みも進んでいる。「DEIボード」はグループ各社のDEI担当者が定期的に集まり、直面している課題などを共有する場だが、人事制度を変える権限を持つ人だけで構成され、迅速に意思決定ができる仕組みになっている。このほか、各組織から選出されたDEIリーダーが、グループ内のマイノリティ当事者の生の声を直接聴き、そこで得た気づきをもとにDEI課題に対するアクションを自ら生み出す、オリジナルの研修施策も継続的に実施し、効果を出している。

社員の声から生まれるボトムアップ型の取り組み

 DEIの取り組みはいま、組織のイノベーションにも不可欠と認識されつつあり、DEI推進を旗印に掲げる企業も増えている。だが、その内容を見ると、社内の人事的な取り組みに留まっている企業も多い。電通グループの取り組みはそれらとは一線を画す。

「電通グループの経営方針は『B2B2S』です。これは、お客様企業の事業課題の解決を通じて社会に貢献するという考え方です。DEIの領域も、社内だけでなく外部のプレーヤーも巻き込み、社会全体をよくしていきたいと考えています」(口羽氏)