電通各社の枠を超えて「B2B2S」を実現した例も生まれている。電通ジャパンのネットワークである電通および電通ライブは、ダイバーシティ研修などを行うUDジャパンの協力の下、「誰も取り残されないイベント」の実現を目指す「みんなのイベント・ガイドライン」を策定し、2022年10月に無料公開した。

 また2024年1月には、インクルーシブな社会の実現に向け、重度障がいのある人にもスポーツができる機会を提供するスポーツイベント「インクルフェス 2024」(写真)を東京都多摩市で開催。特筆すべきは、両取り組みともに、電通ジャパンのネットワーク企業の一社員の声によるボトムアップで実現したことだ。

障がいのある子どもたちもスポーツを楽しめるインクルフェス

「『インクルフェス』は以前、スポーツ庁の委託事業として行っていました。2024年は委託はなかったのですが、一人の社員の『重度障がい者の子どもたちにもスポーツを楽しむ場を提供したい』という熱意から、電通ジャパンで資金を出して主催しました。グループ10社が賛同し、延べ数百人の社員がボランティアで参加。来場者の皆さんにも喜んでいただけました」(口羽氏)

「このほかにも、DEI領域におけるさまざまな取り組みが各社の現場からボトムアップで生まれ、行われています。上司から言われてやるのではなく、社員の『こんなことをやってみたい』という思いから、手弁当で始めて予算がついたプロジェクトもあります。電通グループのこのカルチャーは大切にしたいですね。個の志に根差した多様な価値観から多様なアイデアが生まれます。それが私たちの強みでもあると考えています」(吉羽氏)

 まさに「B2B2S」の指針の下、現場が自発的に組織や社会の課題をとらえアクションを起こす「ボトムアップ型のDEI経営」が実践されている。

「電通ジャパンでも、女性管理職比率、男性育休取得率、障がい者雇用率などの目標は掲げています。ですが、DEIの本質は、目の前にいる人との違いを知り、認め、活かし合うことだと思います。数字に囚われすぎるのではなく、人間が持つポジティブな感情に目を向けることで、大きなうねりを生んでいける。そして、そのうねりは、さまざまな企業や団体の皆様と一緒に取り組むことで、さらに大きくなり、社会を変えていける。そう強く信じて、電通グループは、皆様と一緒にDEIを推進しているのです」(口羽氏)

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