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M&Aのゴールは「成約」ではない。「成約」はあくまでも両社がともに成長するプロセスのスタート地点であり、M&Aの「成功」は、PMI(M&A後の統合プロセス)にかかっている。日本PMIコンサルティングは、中堅・中小企業を対象にしたPMIの専業会社だ。日本M&Aセンターのグループ会社であり、今注目されているPMIの重要性を詳しく語ってもらった。
PMIを知らずにM&Aを行うのは、免許を持たずに車を運転するようなもの
日本には約380万社の会社がある。社長年齢65歳以上の会社は245万社で、後継者不足の会社は127万社に及ぶ。その多くは中堅・中小企業であり、企業の存続のためには“事業承継型”のM&Aが必要とされている。だがすべてのM&Aが成功するわけではない。失敗する要因とは一体何なのか。その成否のカギを握るのがPMIなのだという。
PMI(Post Merger Integration)とは“M&A後の統合プロセス”という意味である。
「PMIにおける重要性の認知度はまだ低いのですが、M&A後に必ずやってくるプロセスで、その巧拙がM&Aの成否を決めるといっても過言ではありません。統合プロセスが失敗すると、当初想定していたシナジー創出が失敗し、企業価値が毀損してしまうケースもあります」
そう語るのは日本PMIコンサルティング常務取締役の宮川崇氏だ。

宮川 崇 氏
PwCあらた有限責任監査法人を経て、日本M&Aセンターに入社し、専門家としてM&Aに関するエグゼキューション実務に従事。2016年4月に社内でPMI支援室を立ち上げ、18年より日本PMIコンサルティングを設立。 PMIにおいて100件以上のサポート実績がある。
M&Aは成約がゴールではない。価値観や仕事のスタイルが違う企業同士が、互いの理解や絆を深めていくプロセスを経ることで、初めてシナジーを創出できる。M&Aは株式譲渡契約書にサインすることが到達点ではなく、成約後のプロセスこそが重要なのだ。
「買い手企業の場合、買収経験が増すたびに期待通りの買収効果を出せるようになります。つまりM&Aには成功のためのセオリーがあり、その多くの部分を占めるのがPMIです。初回のM&Aから成果を出すには、セオリーを理解することが重要で、PMIの方法を知らずにM&Aを行うのは、免許を持たずに車を運転するようなものなのです」(宮川氏)
日本の中堅・中小企業のM&Aを支援してきた日本M&Aセンターは、2016年にPMI支援室を立ち上げ、PMIの実務支援を通じて仮説検証を繰り返し、“日本型PMI”のノウハウを蓄積してきた。その延長線上にある「日本PMIコンサルティング」の設立は2018年。同社が培ってきたPMIの手法は、M&Aの現場でどう活かされているのだろうか。次ページから詳しく解説する。