対話から始まる日本版デジタルエシックスの構築
これまで述べてきたように、デジタルエシックスに取り組むことでデジタル化を加速させ、日本企業が世界で競争力を取り戻すことができる可能性はある。そのためには、欧米の模倣ではない、日本の強みを活かした“日本版”のデジタルエシックスを確立することが必要となる。具体的にはどんなことが求められるのだろうか。3人の見解を聞いた。
「企業でのデジタルエシックスの実践には、二つのポイントがあると考えています。一つ目が、『リスクベース・アプローチの実践』。これは、欧州連合(EU)によるAIの包括規制であるAI法(AI Act.)でも採用されているように、すべてのリスクに対し同じ対応をするのではなく、リスクの大きさに応じてマネジメントを変え、優先順位をつけて対応することです。二つ目として、『アジャイルガバナンス(ルールや制度の在り方を継続的に評価し、迅速にアップデートしていくガバナンス)、リビングドキュメント(継続的にアップデートされていく文書)の実践』も必要です。ルールは一度つくったら終わりではなく、継続的にアップデートし続けていくことが大切なのです」(島村氏)
「ルールありきではなく、何のためにルールをつくるのかに立ち返ることが大事です。ハードロー(強制力のある法令)かソフトロー(指針など)か、という二者択一ではありません。欧米の企業は同じレンガを積み上げるようなモジュール化が得意ですが、日本企業は異なる大きさの石で石垣をつくるようなすり合わせが得意。そこから新たなものを組み合わせてダイナミックな挑戦に資するのが、日本独自のデジタルエシックスなのではないでしょうか」(北村氏)
今岡氏は最後に『デジタルエシックスで日本の変革を加速せよ』の書籍を出版した意図について次のように語る。
「事業がアクセルでエシックスはそのブレーキと考えられがちですが、そうではありません。最初からデジタルエシックスの考えを取り入れておけば、事業が足踏みすることもありません。その点では、デジタルエシックスは“守り”ではなく“攻め”のためのものなのです。この本は、デジタルエシックスのチェックリストではありません。ぜひ、皆さんで対話をして、日本版デジタルエシックスを生み出してほしいと願っています。多くの企業や公共機関が前向きに取り組むことで、日本全体を輝かせることができると信じています」
今岡氏が力を込めて語るように、日本の社会にデジタルエシックスの考えが定着することが期待される。後編では、デジタルエシックスの最新事例や、その支援のためのNECの取り組みを紹介する。
NEC
https://jpn.nec.com/
デジタルエシックスなどに関するNECのThought Leadership活動
https://jpn.nec.com/profile/purpose/vision/thoughtleadership/index.html
NECのDXに関する情報
https://jpn.nec.com/dx/index.html