イノベーションの創出とDX推進にも寄与する

 デジタルエシックスの取り組みは、日本の企業や公共機関にどのような効果をもたらすのか。またその実現のために、NECはどのような支援を行っていくのか。伊藤氏は、デジタルエシックスの取り組みは、企業のイノベーション創出にもつながると指摘する。

NEC グローバルイノベーション戦略統括部
産学官連携コーディネーター 伊藤 宏比古 氏

「よくイノベーションに関して、out of the box(≒既存の枠を超えた発想)で物事を考えようと言ったりします。その含意を考えると、まず自分がどのような箱の中にいるのかを認識できなければ、アイデアを出してもそれが箱の中か外かは判断がつかないということになります。では、どのようにその箱を認識するか。そこで大切になるのがデジタルエシックスです。なぜなら、デジタルエシックスも、その箱を構成する1要因だからです。つまり、いまの自分たちのデジタルエシックスを理解することで、自分たちの発想の枠となるものが定まり、初めて自分たちと異なる考え方に気づいたり、その違いも取り込んだ新たなアイデアを出すことができると考えています」(伊藤氏)

 井出氏は、デジタルエシックスのアプローチやプロセスを組織に実装していくことで、もっとデジタルを能動的に使いこなし、人々に活力を与える社会になると考えている。それによって企業や公共機関のDX(デジタル・トランスフォーメーション)も進むに違いない。

「DXは全員参加が求められることから、現場担当者だけでなく、経営者自らもデジタルエシックスを理解して対話ツールとして活用し、率先垂範することが、企業や公共機関のDXの持続性と加速の担保となり、結果として、DXが社会に幸せをもたらすと信じています。NECではそうしたデジタルエシックスを含んだDXの取り組みを支援するコンサルティングも提供しています」(井出氏)

『デジタルエシックスで日本の変革を加速せよ──対話が導く本気のデジタル社会の実現』(ダイヤモンド社)

 松本氏は『デジタルエシックスで日本の変革を加速せよ』を出版した意図は、日本をよくするための使命感からだと語る。

「デジタルエシックスそのものが、新しい挑戦に対して判断軸を提供してくれることは間違いありません。ただ、デジタルエシックスには曖昧で哲学的な部分もあります。だからこそ、体系化しフレームワークを提供することが必要だと考え、この本を執筆しました。ぜひこの本をもとに社内外で対話を行い、デジタルエシックスを競争力に転換して、持続可能な社会に向けた、企業、行政などの組織運営に役立てていただきたいと願っていますし、私たちも皆さんに併走して支援していきたいと考えています」(松本氏)

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