サマリー:「どうすれば社員が動くのか」。経営者が常に持つ悩みに対して人材教育コンサルティング会社アチーブメントでは『相手の望みをかなえること』が答えだと言う。その言葉の真意と実体験に裏打ちされた理論を紹介する

「経営の目的とは、利潤の追求ではなく、縁ある人を幸せにすること」。そんな経営の教科書には書かれていない予想外の答えを提示するのは、人材教育コンサルティング会社、アチーブメントの青木仁志代表取締役会長兼社長である。「社員を幸せにすることが、自発的な行動を誘発し、おのずと利潤をもたらす。ゆえに、人を動かすリーダーは、『相手の望みをかなえること』に全力を注いでいる」と、青木氏は指摘する。

リードマネジメントで内発的動機づけを促す

「どうすれば、社員は動くのか」

 これは、企業経営者にとって普遍の課題だ。社員がしっかり働いてくれないと、会社の業績は上がらない。

 だが、どんなに社員に働きかけても、思うように動いてくれないと悩んでいる経営者は多いはずだ。 

「社員を動かすことを考えるには、まず、『人はなぜ行動するのか』ということを理解しなければなりません」と青木仁志氏は語る。

「上の人間が、自分中心のモノの考え方でコントロールしようとすると、人は不快に感じるものです。大切なのは、相手の求めるものを知り、目標達成を支援すること。それこそが、リーダーの真の役割だといえます」 

 相手の望みがかなえば、自分の望みもかなえられる。結果として組織の目的も果たされ、気がつけば利潤も大きくなっているものだという。 

「実際、私が創業したアチーブメントは、今年(2024年)で37年目ですが、いままで一度も利潤を追求したことはありません。社員に対してノルマを課したこともなければ、KPI(重要業績評価指標)も設定していません。にもかかわらず、社員数200人余りの会社で売上高56億円、経常利益18億円を実現しています。社員の自発的な行動を促したことが、結果的に好業績に結び付いているわけです」