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多くの企業が投資家について無知である
「あなたの会社は投資家についてどれだけ理解しているか」。そのように問われて、あなたは何と答えるだろうか。たぶん何のためらいもなく「とてもよく理解している」と答えるのではないだろうか。
何しろCEOを含めた経営陣が、会議や電話会議、あるいは一対一のインタビューなどの手段で、大口投資家や有力アナリストとのコミュニケーションに多大な時間を費やしている。これに加えて、社内には活発なIRチームがあって、投資家のコミュニティと親密な関係を保っているのだから。
しかし「特定の戦略上の意思決定について投資家がどのように反応するか、正確に把握できますか」と聞かれたらどうだろうか。たいていの経営陣と同様に、あなたもその言葉を濁すのではないだろうか。
こんな例がある。先日、我々はあるマッキンゼー・アンド・カンパニー(以下マッキンゼー)のクライアント企業のCEOに、予定している主力事業の売却に投資家はどのような反応を示すかについて尋ねてみた。
当のCEOの主張によれば、競合他社のCEOに比べて2倍もの時間を投資家と過ごしている。さらには、社内のIRスタッフだけでなく、外部のIRコンサルタント会社とも契約しているという。
しかし彼は、売却予定の事業部門について、主な投資家がどれだけの価値を見出しているのか、あるいはその当該事業と他事業との間にどのくらいのシナジーが存在しているのかを具体的に把握できていなかった。したがって、来たるべき売却の発表において市場がどのように反応するかは、想像に頼る以外の術はなかったのである。
また、CEOが大口の機関投資家10~20社の考え方についてかなり正確に理解している場合であっても、その情報を頼りに小口投資家たちの意見も理解できると、勘違いしていることがある。