マネジメントを縛ってきた4つの言葉

 マネジャーに、あなたは何をしているかと尋ねれば、ほとんどが計画し、組織し、調整し、統制することだと答えるだろう。そこで、現実に彼らがしていることを見てみるがよい。この4つの項目と関係づけることはできないが、これはけっして驚くべきことではない。

 たとえば、工場が火事で焼けてしまったという電話をあるマネジャーが受けたとしよう。そして、マネジャーはその電話の相手に、応急措置として、外国の子会社から顧客へ供給できないか調べるように指示したと仮定してみよう。

 これは計画しているのか、組織しているのか、調整しているのか、それとも統制しているのだろうか。

 また、退職者に金時計を贈呈する時はどうだろう。業界関係者に会うため会合に出席する時はどうだろう。あるいは、その会合で得たおもしろい製品アイデアを会社に戻ってから社員に話す場合はどうだろう。

 フランスの実業家、アンリ・ファヨールが1916年に紹介して以来、この4つの言葉は、マネジメントの用語を支配してきたが、マネジャーが実際にしていることを、ほとんど説明していない。どう見ても、せいぜいマネジャーが仕事をする時に考えている、あいまいな目標を暗示する程度のものである。

 経営学はこれまで、進歩と変化に向けて邁進しすぎたがゆえに、半世紀以上の間、マネジャーは何をしているのかといった、まさに根本的な問いかけをしてこなかった。

 これに対する適切な答えがなければ、どのようにしてマネジメントを教えることができるのだろうか。どうやってマネジャーのための計画や情報システムを設計できるのだろうか。どのようにして経営のやり方を改善できるのだろうか。