堀田 アパレル商品は、店舗で実物を見て、試着してから購入するのが一般的です。でも、ECではインターネットで商品の画像だけを見て購入するので、実は予約販売と相性がいい。

 本格生産に入る前にサンプルをつくってその画像をECサイトに上げて、予約を取るわけです。サンプルを撮影したり、商品説明の詳細なコメントを書き込んだり、店舗とは異なるオペレーションが必要ですが、それをやることでECのノウハウを蓄積できます。

 予約で事前に需要がわかるので、事業サイドとしても計画生産できて過剰在庫のリスクを減らせます。予約購入という新たな顧客体験を提供できて、ビジネスチャンスも広げられることを事業サイドに実感してもらえたのは大きかったと思います。

堀田 覚
Satoshi Hotta
パル 取締役専務執行役員

アパレルは機能や価格だけで価値を測れない

 ちょうど堀田さんがECを担当されることになった2016年から私たちは御社とお取引を始めさせていただき、パルクローゼットで(CXプラットフォームの)「KARTE」を導入していただきました。

堀田 それまでの自社ECサイトは、他社が開発したプラットフォームを利用して運営していました。それを自社システムに切り換えるタイミングで僕がECを担当することになったのですが、やりたいことに対して足りないものだらけでした。ウェブ接客ツールもなければ、CRM(顧客関係管理)やMA(マーケティングオートメーション)のツールもありませんでした。

 それで、いろいろな会社に話を聞いてみることにしました。そこで出会ったのがKARTEです。当時出会ったいろいろなプロダクトは、そのシステムに我々が制限されてしまうような部分がありました。しかし、KARTEなら、自分たちがシステムに合わせるのではなく、自分たちが考えて、実際に手を動かしていろんなことを試せそうだった。お客様を理解したうえで、そこに対してコミュニケーションをトライしていくKARTEの設計思想が、僕たちの考え方に合っていると思って導入を決めました。

 その後、KARTEの機能がどんどん拡充されていったので、僕らのEC事業が拡大していくのに合わせて、(顧客データプラットフォームの)KARTE Datahubや(デジタル広告の運用・最適化ツール)KARTE Signalsも導入しました。

中野 KARTEは、顧客接点や顧客体験に直接関わる人たちが、お客様のことをよく理解できて、いろいろな施策を柔軟に試すことができるプロダクトとして設計しています。御社は、KARTEを使った試行錯誤のスピードがとても速いので、本当にKARTEの設計思想に合っているという印象を持っています。

 御社がこれからデジタル変革をどんどん進めていこうとされるタイミングでご一緒にできたのは、プレイドとしても幸運でした。

 アパレル業界は顧客中心の考え方が浸透している企業が多いですし、顧客基盤の重要性をよく理解していらっしゃる。私たちがスピーディにKARTEの機能拡充を進められたのは、アパレル企業から多くを学ぶことができたことも糧になっています。

堀田 おっしゃるように、アパレル業界は顧客のことをもっと知りたいと思っている人が本当に多いですよね。アパレルという商品自体が機能や価格だけでは価値を測れなくて、好き嫌いや流行を含めてなぜこの商品が売れているのかを理解するのが難しい。それを理解するには、やはりお客様のことを知るしかありません。

中野 パルのWEB事業に携わっている方々は、店舗で実際に顧客に接していた人が中心ですよね。最初からエンジニアやマーケターとして経験を積んだ人をアサインするという選択肢もあると思いますが、チーム編成にはどのような意図を込めていますか。