これからの企業は競争優位よりも協働優位

 部門間のコラボレーションやオープンイノベーションの取り組みを山のように積み重ねても、企業はなかなか革新的なアイデアを生み出して市場投入することができない。問題は新しいアイデアがまだまだ足りないことであり、議論の過程にもっと多様な人々を巻き込む努力が必要だ、と指摘する人は多い。

 もちろん、独創的なアイデアはいくつあっても害にはならないだろう。だが、こうした対処法は大切な事実を見逃している。千に上るアイデアを開花させるだけでは、イノベーションの成功は実現しないという事実である。

 ハッカソンなどの“イノベーションを促進する仕掛け”に関する研究を見ればわかるが、当初のアイデア出しの段階が終わるとその後はほぼ何も起きないケースが極めて多い。