映画『バービー』の成功の背後にあるもの

 グレタ・ガーウィグが監督を務めた映画『バービー』は、約2週間で興行収入が10億ドルを突破した。インフレ調整後の額で見て、この記録を達成したのは、これまで53作品にすぎない。2023年に封切られた同映画は、女性のエンパワーメント、多文化主義、包摂(インクルージョン)というテーマを取り上げており、マテルが1959年に発売した長身痩せ型の白人のバービー人形に代表される、社会的・人口統計学的に狭い属性からかけ離れていた。

 映画が一大現象になる数年前、マテルのリーダーたちは、バービーの知覚(パーセプション)が米国市場の人口動態と一致していないことを懸念していた。顧客がこの有名な人形をどのように感じているかを理解し、よりインクルーシブなバービーが強力な市場機会につながるかどうかを見極めるため、綿密な調査を実施した。

 その結果は人形の多様性を高め、マテルの重要な顧客戦略の幅を広げた。2016年、同社は黒人のバービー・ソーインスタイルという製品ラインを展開し、肌や目の色、髪質などを増やして、さまざまな体型のバービー人形を発売したのである。