上司のお気に入りの内集団
そうではない外集団

 筆者らは最近、スカンジナビアのロボティクス企業と仕事をする中で、ある憂慮すべき点に気づいた。リーダーシップチームミーティングの間、CEOが話しかけて意見を聞いていたのは直属の部下9人のうちほぼ3人に限られ、残りのメンバーはただ傍観するだけだったのである。

 この状況について、後からCEOに尋ねたところ、彼は不意を突かれた様子だった。このCEOは、自分には誰の目にも明らかな「お気に入り」がいるということ、そして自分のえこひいきによって他の経営幹部らに及ぼしうる影響に気づいていなかったことに衝撃を受けていた。(部下から上司への)アップワードフィードバックにおいて、この問題を指摘されたことは一度もなかったという。

 これはありふれた問題である。マネジャーの大半は、自分はチームメンバーの一人ひとりに対して同等の関心と敬意、配慮を払っていると信じているが、40年以上にわたる筆者らの実証研究では異なる事実が明らかになっている。研究結果から、ほぼすべての上司が、人間的で温かみのある関係を結ぶ内集団と、仕事上の単なる取引関係として接する外集団を持っている、あるいは持っていると見られていることが示されているのだ。

 また、従業員が「自分は上司のお気に入りではない外集団に属する」と気づいた場合、エンゲージメントや職務満足度、コミットメント、そして究極的にはコラボレーションやイノベーション、パフォーマンスが低下することも裏づけられている。

 どの部署、組織、業界、地理的場所においても、部下たちは能力や仕事への姿勢、地位の点で同等の同僚と比較して、自分がどのように扱われているかをよく見ている。リーダーの口調、誠実さ、ボディランゲージ、スタイル、精神的支援、柔軟性、批判、称賛に差異があれば、彼らはすぐに察知する。

 そして、上司が自分に意見を求めてくれたり、自分の提案を採用してくれたり、取り組みを応援してくれたり、努力に気づいてくれたり、ニーズや好みに配慮してくれたりする可能性が低く、「ともに働くというよりは一方的に働かされている」と判断した時、あるいはそう感じた時、部下たちは幻滅し、嘆き、敵意さえ抱くようになる。