新しいテクノロジーはどこに向かうのか

「3日間、眠れぬ夜を過ごす」。ウォートン大学のイーサン・モリック准教授は、初心者が生成AIの現在のスピードに取り残されないためには、チャットGPTやミッドジャーニーなどのツールの実験にそれほどの長い時間を費やさなければならないと述べている。

 しかし、この新しいテクノロジーはこれからどうなるのだろうか。どのように進化するのだろうか。そして、私たちの働き方をどのように変えるのだろうか。モリックの著書Co-Intelligence: Living and Working with AIをはじめ、AIに注目したおびただしい数の出版物が(アマゾン・ドットコムによれば2024年に40冊以上が刊行される予定だ)こうした疑問に答えようとしている。

 ただし、この画期的な進歩は始まったばかりで、正確な予測は難しい。

 モリックが書いているように、「[あるAIは]チューリングテスト(コンピュータが人間を騙して自分を人間だと思わせることができるか)とラブレステスト(コンピュータが創造的なタスクで人間を騙すことができるか)を、どちらも発明から1カ月足らずで突破した。(中略)[ただし]AIがどうしてこれらのことが可能なのか、はっきりとはわからない。私たちがつくったシステムなのだが(中略)どこに向かっているのか、私も含めて誰も本当には知らない」

 とはいえ、この本は、新しい謎めいたテクノロジーの有用なガイドになるというみずからの約束を果たしている。おそらく最も重要なのは、多くの専門家にとってすでに不可欠なツールになった過程を説明していることだろう。

 モリックはボストン コンサルティング グループのある研究を紹介している。同じくらい優秀なコンサルタントを2つのグループに分けて、一方のグループだけが、一般的な生成AIツールにアクセスして基本的なトレーニングを受けた。そして、両方のグループに、典型的な課題を模倣してデザインされた18のタスクを与えた。「AIで補強されたコンサルタントはより速くタスクをこなし、その成果はより創造的で、よりよい文章を書き、より分析的であると見なされた」

 このような証拠をもとに、モリックは知識労働者のための4つの原則を提案する。

 第1の原則は「AIを常に招き入れる」。つまり、すべてのプロジェクトでAIを使った実験を行うことを提唱する。