ほぼあらゆる規模の企業、あらゆる業種の企業で、取締役会は大きく変貌を遂げている。企業の業績が思わしくなかったり、振るわなかったりすることに対して、株主がますます不寛容になっているせいだ。

 それまでは、ただ型通りに議事を進行するだけの取締役会だったのが、経営陣に厳しい要求を突きつけ、経営陣のやり方にいちいち口を出す、物言う取締役会へと変わってきているのだ。

 この変化はCEOにとっては脅威であり、忌々しいものであるかもしれない。とはいえ、筆者らがこれまでコンサルティングを引き受けてきたCEOへの助言や、筆者ら自身のCEOとしての業務経験、取締役としての経験からわかったことがある。経営陣が取締役会との接し方を一新することにより、このような物言う取締役会の下でも十分に成果を発揮できるということだ。

 以下に、そのための4つのアプローチを紹介しよう。

アプローチ(1)
取締役会という組織のみならず、取締役一人ひとりと個別に相対し、必要に応じて助力を求める

 驚くべきことに、CEOの多くは、正式な会議の場で取締役とコミュニケーションを取ることのみを重視しているようである。しかし、定期的に取締役と一対一の非公式な面談をすることで、事業の詳細を把握したがる物言う取締役会の一員を、うまく使うことができるのである。

 たとえば、個人的なやり取りを通じて重要な案件について取締役に助力を求めたり、問題が起こっても、それが大事になる前に対処したりすることができる。しかも、取締役と個人的なパイプを築いておけば、CEOは取締役会に寝首をかかれ、突然決議を覆される可能性も少なくなる。

 このような場合、筆頭取締役(および議長)との関係を深めることが特に重要である。物言う取締役会では、筆頭取締役や議長こそが、採り上げるべき議題を決め、個々の取締役が取締役会に持ち出した議論に対処するカギを握っているからだ。