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研究の概要
米ジョージ・メイソン大学のレイ・ガオは、豪マッコーリー大学のジエンレイ・ハン、ジェヤオ・パン、フイシャン・ジャンとともに、米国生まれのCEO1777人の出生地データを収集し、それぞれの土地が西部開拓時代にフロンティア(辺境)またはその付近だった期間を特定した。そして、会計と特許のデータベースを調査したところ、長年フロンティアだった地域出身のCEOが率いる企業は、より多くの特許を取得しており、それらの特許はより頻繁に引用され、市場でより高い価値を持つことがわかった。
つまり、旧フロンティア地域出身のCEOが率いる企業は、より多くの特許を取得している。この結論についてガオ教授に解説していただこう。
イノベーションを推進する資質とは何か

Illustration by AGATA NOWICKA
ガオ(以下略):フロンティアで成功するために必要な資質は、企業のイノベーションを推進するために必要な資質と同じです。不確実性を喜んで受け入れ、報われる保証のない新しい領域にみずから踏み込まなければなりません。
開拓時代のフロンティアの生活は、荒々しくて危険でした。生き残るためには独立心があって、機知に富んでいて、リスクを冒す意欲が必要であり、個人主義が報われる環境でした。このような環境は個人主義者を惹きつけ、自立と創意工夫の文化に拍車をかける傾向がありました。
HBR(以下太字):そのような特質が、その土地にもともと暮らしていた人々の間で発達する理由はわかります。でも、長い年月を経てフロンティアとは似ても似つかなくなった土地で生まれた人々にも、そのような特質が本当に残っているのでしょうか。
文化には驚くほど粘り強さがあります。他の研究者による先行研究では、個人主義を特に重要視するなど、フロンティア社会の特徴が世代間で受け継がれることが確認されています。