友人を紹介した顧客に対して特典を提供する企業は多いが、そうしたプログラムが素晴らしい結果を生むことはほとんどない。たとえば最近の調査では、満足度の高い顧客でさえ、平均紹介率はわずか29%であることがわかった。新たな研究は、簡単に実施できる改善策を提示している。2つのフィールド調査とさまざまな状況下での6つの実験室実験によると、紹介によって双方に利益があることが誰にでも明らかな場合、人々は他者に企業を宣伝する傾向が強かった。

 最初の研究では、米国の小規模な魚の剥製会社から少なくとも1回購入したことのある371人に、購入につながった紹介1件につき最高100ドルの割引が提供された。被験者が被紹介者に転送した招待状の一部には、被紹介者が購入契約時に割引を受けられることだけが書かれていた。別の招待状には、紹介者も割引を受けられると記載されていた。前者のグループの紹介率は5%、後者のグループは14%で、後者のほうが665%多い売上げだった。同じようなパターンは、中国人学生の親に提供された家庭教師のパッケージや、コーヒーショップの会員権、食事宅配サービスの定期購入、モバイルゲーム「アングリーバード2」や「ポケモンGO」への参加などを対象とした実験室実験でも見られた。

 心理学者は、対人関係を2つのタイプに大別している。友人関係、つまり互恵的な利益を期待することなく利益が提供される共同的関係と、ビジネスライクな取り決めで、与える側が同等の価値のあるものを受け取ることを期待している交換的関係だ。