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大半の経営者が業績評価の罠にはまる
シアトル在住の精神分析医の日常のドタバタを描いたTVドラマ『そりゃないぜ!?フレイジャー』のなかで、主人公フレイジャーの弟は、自分の仕事について「難解で退屈。僕の好きな組み合わせだよ」と憂鬱そうに語った。
これを聞いて「業績評価制度の改革と同じだ」と思ったとしても、それはあなただけではない。私の経験から申し上げれば、業績評価制度を改革するという仕事について、大半のビジネス・リーダーが、わが身に危険を招くものとはいわないまでも、相当やっかいなものだと考えている。
そして、そもそも評価者ではないスプレッド・シートの達人に丸投げしてしまう。その当然の帰結として、自社の業績を理解するのに大して役に立たない数値や比較表であふれ返り、時には、かえって業績の足を引っ張るような判断が下される。現在の不況期にあっては、わずかな誤差が命取りとなるため、これは大問題である。
では、「業績評価制度の改革は自分たちの仕事」と経営陣にわからせるには、どうすべきだろう。そのためには、今年度の予算や過去の業績を振り返り、今後どうすればライバルよりもうまくやれるのかを判断するために、定性的かつ定量的な評価指標を見出す必要がある。
シンプルで扱いやすい評価指標を超えて、より精度の高い評価指標一式を採用する必要がある。そして、社員たちを臨戦態勢に置き、この新しい業績評価指標は過去のビジネスモデルに関するものではないことを周知させる必要である。
以下では、私がこれまで見てきた、業績評価において陥りやすい5つの罠を紹介すると共に、これらをどのように回避すればよいのかについて解説する。私の処方箋は完璧ではないが、これを参考にすれば、業績評価制度を改革するうえで幸先のよいスタートを切れることだろう。いずれにしても、これらの罠に陥っているライバルを出し抜く一助になるはずである。
[第1の罠]
自社を基準にしてしまう
次回の定期業績評価の書類が机の上に置かれ、そこにはあまたの数字が並んでいる。これらの数字はいったい何を示しているのか。たいていは、直近の業績を計画あるいは予算と比較したものだろう。
とすると、業績評価の第1の罠にはまる危険性が高い。自社にしか目が向いていないからである。計画を上回っているかもしれないが、ライバルよりも上だろうか。また、目の前の概算値は細工されたものだったとしたら──。