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幻覚剤とビジネスパーソン
マネジメント誌でサイケデリック(LSDなどの幻覚剤全般のこと)に関する記事を見つけて、あなたは驚いているかもしれない。正直なところ、私も『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)で働き始めた時に、サイケデリックについて書くことになるとは思っていなかった。
しかし、ホールフーズのジョン・マッキーやテスラのイーロン・マスクのような創業者やCEOが、アヤワスカ(幻覚性植物)やシロシビン(マジックマッシュルームに含まれる幻覚成分)などの幻覚剤がリーダーシップの成功に役立ったと公言しており、LSDの使用が管理職の間で非管理職よりも急速に増加していることを示唆する調査結果もある。偏見のない目で、あらためて考えてみよう。
DMT(ジメチルトリプタミン)、MDMA(メチレンジオキシメタンフェタミン)、ペヨーテ(サボテン由来の幻覚剤)、2C-B、サルビア(幻覚性植物)などは、思考プロセスや知覚、感覚を変えて、しばしば幻覚を引き起こすことが古くから知られている。
20世紀半ばに米国の科学者は、幻覚剤が精神疾患の治療薬になる可能性を熱心に探究していた。1970年に米食品医薬品局(FDA)はこれら幻覚剤を、医療的価値がなくて乱用の危険性が高いとされるスケジュールⅠの薬物に指定し、医療用でも非合法とした。しかし現在では、米国の20以上の州で幻覚剤の合法化や非犯罪化、研究が進められている。また、カリブ海諸国、南米、欧州、アジアでは、使用と販売が許可されている国もある。
私はこれらの薬物に関する最近の文献を詳細に調べ、その有用性についてコンセンサスを見出したいと考えた。つかの間の多幸感を与えるパーティのお供、あるいはPTSD(心的外傷後ストレス障害)、鬱病、依存症などの効果的な治療薬としてではなく(多くの科学者はその効果を信じている)、ビジネスパーソンが受容性と創造性と悟りを解き放つための道具として。
しかし、実際に私が出会ったのは、幻覚作用が私たちのために何ができ、何ができないかについて、多様で、時には論争を巻き起こす意見の数々だ。