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サステナビリティが未来の勢力図を変える
持続可能(サステナブル)な発展しか道はない。にもかかわらず、多くの企業が「環境に優しい企業になろうと努力すればするほど、競争力が落ちていく」と思い込んでいる。実際、環境対策はコストがかさみ、業績にもすぐさま直結しないと考えられている。なかでも欧米企業のCEOたちと話していると、さまざまな不安をこぼす。
「サステナブルなオペレーションや環境に優しい製品に取り組んでいては、そのようなプレッシャーとは無縁の開発途上国のライバルに負けてしまう」「サプライヤーに、環境に優しい部品や原材料、透明性を期待するのは非現実的である」「サステナブルな製造には、新たな設備やプロセスが必要だ」「不況の間、顧客は割高なエコ商品に手を出さない」等々──。
このような理由から、ほとんどのビジネス・リーダーが、サステナビリティの追求をCSR(企業の社会的責任)として扱い、事業目標とは切り離している。
地球環境を守る戦いは、政府対企業、企業対消費者運動家、そして時には消費者運動家対政府の間で繰り広げられているが、別段驚くことではない。この状況は「二人三脚」に似ている。縛られていない2本の足は前に進んでいるのに、縛られた3本目の足がじゃまをする。
政策通や環境活動家が一つの打開策として提唱しているのが、さらなる規制強化である。彼ら彼女らは、自発的な行動に任せるだけでは足りないと主張する。その一方、企業をサステナブルな存在へと変えるために、消費者を啓蒙し一致団結させることを提案するグループもいる。たしかに規制も啓蒙も必要だが、これで問題が迅速かつ全面的に解決できるだろうか。
ビジネス・リーダーたちは、環境に優しい製品やプロセスが社会全般にもたらす便益を選ぶべきか、あるいはコストを優先すべきか悩んでいるようだが、これは正しくない。
我々はこれまで、大企業30社のサステナビリティ・プロジェクトを調査してきたが、ここから「サステナビリティは、組織面でも技術面でもイノベーションの源となり、これによって売上げや利益がもたらされる」ことが明らかになった。