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新興国において人材争奪戦の成否を分ける4つの要因
新興市場は、西欧諸国や日本よりも速いペースで成長しており、多くの企業が新たな成長機会を求めて、ブラジル、ロシア、インド、中国といったBRICs諸国に狙いをつけるのはけっして不思議ではない。さらに、これら以外の新興国にも新たなチャンスを見出そうとする動きが急増している。
グローバルに事業展開する企業は、新興国で繰り広げられる人材争奪戦に勝つために必死である。新興国の人たちは、おそらく人生で初めて目の前に数え切れないほどの選択肢が並び、大きな期待に胸を膨らませている。
これらの国々で人材を獲得するには、グローバルな人材戦略の経験豊富な企業さえ、過去の成功方程式に頼ることはできない。
たとえば、1850年代のインド、香港、シンガポールにルーツを持つスタンダードチャータード銀行[注1](SCB)ならば、アジア地域での人材争奪戦で、たえず先頭グループにいられるだろうと思うかもしれない。
しかし、事はそう簡単ではない。ほんの数年前のことだが、SCB中国がリテール業務と商業銀行業務を任せられるベテラン・マネジャーを探したが、残念ながら適任者を見つけることができなかった。SCBインドのグローバル・セールス部門を率いるヘマント・ミシュラの言葉を借りれば、次のような状況である。
「このような地域の人たち、そしてその前の世代の人たちは、貧しく、機会に恵まれなかった時代しか知りません。しかしながら、彼ら彼女らが勤勉で誠実な社員として、規律を守りながら将来に向かって歩いていくことを我々は期待しているのです。もっと現実的になるべきです。いまの時代の主役は、彼ら彼女らなのですから」
我々は数十年にわたって、人材マネジメントおよびリーダーシップ開発について研究してきたが、現在起きているような人材争奪戦は目の当たりにしたことがない。我々は8カ月にわたる調査を実施し、数十人の経営幹部にインタビューを試み、20社を超えるグローバル企業のデータを集めた。本調査の目的は「新興市場で成敗を分かつ要因は何か」を突き止めることだった。