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5人に1人が職場で孤独を感じている
職場での孤独が医療費や欠勤、退職に大きな影響を及ぼしていることが、近年、広く注目されている。米医務総監事務所と世界保健機関(WHO)は、職場での社会的断絶への対策を進めるよう、企業に強く忠告してきた。
しかし、この問題についての関心や取り組みが拡大しているにもかかわらず、まだ解決には至っていない。事実、ギャラップによる2024年の報告書「世界の職場状況」(State of the Global Workplace)では、現在、世界の従業員の5人に1人が、職場で孤独を感じていることが示された。
現代の生活のさまざまな側面が孤独の原因となっている。その中には、文化的、経済的、人口動態的、技術的要因など、企業が直接には影響を及ぼせないものもある。とはいえ、組織の日常において、企業が変化を起こして孤独感を減らし、人間同士のつながりを拡大できる側面もある。
筆者らは、孤独についてのコンサルティングや研究を世界の企業に向けて行っており、その年数は合計で数十年に及ぶ。この経験から研究プログラムを実施し、なぜ組織は職場での孤独との戦いに苦戦しているのか、また、どういったリーダーシップ行動、交流活動、環境が変化につながるかを見出そうとした。
筆者らは、米国の金融サービス、医療、テクノロジー、製造業など、20以上の業界で働く1000人のナレッジワーカーを調査した。独自に開発した「職場での孤独度」(Work Loneliness Scale)という測定ツールを用いて、筆者らは調査参加者の孤独の程度を事前に測り、次の3つのカテゴリーがそれぞれ200人以上になるようにした。非常に孤独(参加者249人)、中程度に孤独(同383人)、ほぼ孤独でない(同368人)の3カテゴリーである。
参加者の職位は、若手のプロフェッショナルから上級マネジャーまでさまざまだった。働き方も多様で、完全な対面が42%、対面とリモートワークのハイブリッドが37%、完全なリモートが21%だった。調査では、参加者に複数の選択肢を提示してさまざまな社会的状況を調べ、自分に最も当てはまるものを選んでもらった。
この調査をもとに、本稿ではまず企業が孤独について抱いている誤解について説明し、続いて、職場で孤独を減らすための実際的な方法について論じていく。