CXだけでなくEXの向上も支えるZoom

 イベントの後半には、Zoomのユーザー企業2社による最新の「お客様事例セッション」が行われた。

 最初に登壇したのは住宅設備機器大手、LIXILの常務役員 Marketing部門リーダーの安井 卓氏と、デジタル部門セールス&マーケティングデジタル推進部ショールーム デジタル推進担当主任の津久井清太氏である。

 今日のようにDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が叫ばれる以前からデジタル戦略を推進してきたLIXILは、2018年にZoomを導入している。「生活者によりよい暮らしを提案するLIXILにとって、CX(顧客体験)の向上は何よりも優先されるテーマであり、そのためにはEX(従業員体験)の向上も同時に実現することが不可欠だと考えたからです」と安井常務役員。

LIXIL 安井 卓常務役員 Marketing部門リーダー

 Zoomによる社内コミュニケーションやコラボレーションの強化は、それに見合う重要な投資であった。そしてコロナ禍より以前にZoomを導入していたことは、結果として同社を救うことになる。LIXILは全国に81カ所のショールームを展開している。コロナ禍により対面での接客が難しくなったものの、Zoom Meetingsを使ったオンラインショールームをすぐに開設することができた。

「オンラインなら、近くにショールームがないお客さまでもご案内ができたり、離れて住んでいるご家族も一緒にご案内できるといったメリットがあることが分かりました。また育児で忙しい従業員にとっても在宅でお客さまに対応できるようになったと喜ばれました」と安井常務役員は語る。

 同社は、コロナ禍が落ち着いた後もオンラインショールームを継続しているが、Zoom Meetingsは顧客に事前予約してもらわないと利用できないなどハードルが高いという声を受けて、別のシステムを導入し、予約なしですぐに利用ができる即時型のオンラインショールームの「今すぐ相談」を開始した。

 ところが、このシステムには幾つかの問題があった。

「通話が切れる、画像が固まるといった通信が不安定なことや、サービスの更新などの依頼に時間がかかる、さらにお客さまからのご相談が集中する土日はサポート対応していないので、何らかの不具合が発生するとサービスが滞ってしまうといった問題があり、従業員にとっても悪影響があると考えました」と明かしたのはショールーム デジタル推進担当の津久井主任である。

現場からの要望に即応する対応力の高さを評価

 そこでLIXILはシステム全体の見直しを決定。複数候補の中から選んだのが、Zoomのコールセンター支援ソリューションである「Zoom Contact Center」だった。
 オンライン会議用に特化したZoom Meetingsとは異なり、顧客からの相談を予約なしでいつでも受け付けられるのが選定理由の一つだが、それ以上に高く評価したのはZoomの対応力であった。

「相談に対応する従業員の空き状況の確認など、カスタマイズを要する機能もあったのですが、われわれの要望をすぐさま米国の開発部門に伝え、スピーディーに対応してくれる点は非常にありがたかったですね。外資系のIT企業は、日本からの要望にはレスポンスが遅いイメージがありますが、Zoomの対応力は格段に優れていると感じました」と津久井主任は評価した。

LIXIL 津久井清太ショールーム デジタル推進担当主任

 LIXILは今後も、EXを向上させるためのエンゲージメント強化ツールなど、ZoomのソリューションによってEXとCXの向上を図っていく考えだという。