「ビッグブラザー[注]」が監視していると、従業員の仕事のペースが落ちる──。デジタル監視が従業員の生産性やマネジャーと部下の信頼関係に及ぼす影響を調査した研究者らは、こう結論づけた。

 実地調査では、米国のさまざまな企業に勤める正社員298人を対象に、数カ月にわたり、どの程度監視されているか、監視情報が自分の能力開発にどの程度活用されているかについて回答してもらった。また、従業員の上司に彼らの仕事のパフォーマンスを評価してもらい、たとえば「仕事に注力しない」「意図的にゆっくり仕事をする」「許可なく遅刻する」など、非生産的な行動を示しているかどうかも尋ねた。

 特に上司と部下が能力開発に関して話し合わない場合、デジタル監視が生産性を損なう可能性があることがわかった。そしてそれは従業員のパフォーマンスに悪影響を及ぼす。監視され、能力開発についての話し合いがほとんどなかった従業員は、監視されなかった従業員に比べ、生産性スコアが下がる確率が約5倍だった。