マネジャーを起点に意思・行動変容を促進する

 売上げや利益といった財務指標と、顧客満足度や従業員エンゲージメントなどの非財務指標の関連性を明らかにすることが、経営と人事の連動につながる。これは、多くの企業がすでに認識している課題だ。しかし、人的資本経営の実践で見落とされているのが、組織単位での業績・成果に実行責任を持つマネジャー(組織責任者)を巻き込み、組織メンバーの行動変容を有機的に促すことである。これは人的資本経営の実践に欠かせない重要な要素であり、そこを起点として経営と人事を連携・連動させるための仕組みが、リッジラインズが提唱する「人的資本価値向上循環モデル」である。

 経営者やCHRO(最高人事責任者)がどれだけ高い問題意識を持っていても、人事施策実行の舵を取るマネジャーの当事者意識や組織マネジメント能力が欠けていれば、組織メンバーの意識変容・行動変容は生まれず、財務・非財務の組織業績・成果にはつながらない。リッジラインズの人的資本価値向上循環モデルでは、「企業パーパス」→「全社戦略」→「事業戦略」→「事業計画」→「組織単位のビジョン・重点テーマ」→「組織メンバーの意識変容・行動変容」→「従業員エンゲージメント」→「組織業績・成果」という価値向上サイクルに、“マネジャーの組織マネジメント能力向上”を組み込んでいる。

 マネジャーの組織マネジメント能力とは、マネジャーの当事者意識の高さとそれに基づく行動・振る舞いと言い換えてもいい。それには、「将来の成功を確信できるリーダーシップの発揮」「成果を最大化させるマネジメント」「やりがいのある仕事と能力向上の機会提供」「組織としての誠実さと責任の体現」などがあり、こうした行動・振る舞いと組織業績・成果の相関性の高さを、リッジラインズは実際のサーベイにより検証済みである。

 マネジャーに適切な行動・振る舞いを促すには、①全社で検証すべき財務・非財務KPI(重要業績評価指標)と組織単位のKPIの関係性を整理・可視化する、②エンゲージメントサーベイから得られた示唆を踏まえ、改善につなげる活動を組織的に見直す、③自身の行動・振る舞いの影響度合いをマネジャーにフィードバックし、対応を考察する、という3つの課題に継続的に取り組む必要がある。

 企業の非財務資本の中で人的資本の持つ影響力はますます大きくなってきている。東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)の低迷する企業に対して改善策の実行を要請して以来、市場からPBR向上のプレッシャーが高まっているが、中長期視点での投資家からの成長期待に応えなければPBR向上にはつながらない。そして、中長期の成長性を重視する投資家ほど、非財務価値が高まる取り組みを注視している。

 だからこそ、「人材の現在価値を可視化し、さらにその先を見据えて将来価値を高める投資を行い、価値向上の循環を生み出す必要があるのです」(石田氏)。冒頭の石田氏のコメントの通り、それはけっして容易なことではない。「その困難なチャレンジに伴走し、一社でも多くの持続的成長を実現していきたい」。リッジラインズは、その決意を胸に走り続ける。

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