サマリー:会社そのものを変革するコーポレート・トランスフォーメーションを推進するNEC。同社の業務変革において、すでに約2.5億円の効果を生み出しているプロセスマイニングとはどのようなものか。

企業価値向上に向けて、単なるデジタル化ではなく、会社そのものを変革するコーポレート・トランスフォーメーションを推進するNEC。その実現のカギを握る業務変革の取り組みについて、同社CIOの小玉浩氏に、プロセスマイニングソリューションを提供するCelonisの村瀬将思社長が聞いた。

 プロセスマイニングとは、業務システムから取得したログデータを分析することで業務プロセスの非効率性を発見・改善する手法のこと。2011年にドイツで誕生した。業務の現状をデジタルツインの形で可視化できるので、ポイントを押さえた迅速かつ効果的な業務変革が可能になる。NECは、プロセスマイニングソリューションとして定評があるCelonisを導入して業務変革に取り組んでいる。さらに、そこで蓄積したノウハウを、社会全体の生産性向上のために普及させることを目指している。

社内・顧客・社会に向けた3つのDX戦略を推進

村瀬:NECは、パーパスドリブンなDX(デジタル・トランスフォーメーション)戦略を推進しておられると伺っています。まずは、貴社のDX戦略の概要についてお聞かせください。

小玉:当社は、「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指します。」というパーパスを掲げています。

 このパーパスの実現に向け、当社自身が社内のDXでコーポレート・トランスフォーメーションを実現して企業価値を高め、そこで得た知見をお客さまのDXや社会のDXに還元していくDX戦略を、2025中期経営計画において経営の中核と位置づけ推進しています。

村瀬:社内DXを「コーポレート・トランスフォーメーション」と表現しておられる点に、単なるデジタル化の範疇を超えた取り組みであるという考え方がにじみ出ていますね。

小玉:ご指摘の通り、テクノロジーの導入に留まらず、社内のエンゲージメント強化やチャレンジする組織づくりを通じて企業文化を変革します。経営の柔軟性とアジリティを高め、変化し続けるDNAを組み込んだビジネスインフラを実現します。

村瀬:小玉さんはNECのDX戦略を推進するCIOのお立場ですが、その役割を発揮するうえで心がけている点は何でしょうか。