意外に思われるかもしれないが、従業員に育児手当を支給すると、企業の収益は向上する。

 ボストン コンサルティング グループ(BCG)と母親支援団体マムズ・ファーストの研究者らは、育児プログラムの効果とそのコストを比較するために、UPSやエッツィなど5社の従業員約1000人を調査し、従業員の定着率、離職率、欠勤、給与、生産性に関する企業の人事データを分析した。その結果、事業所内保育、育児手当、その他の育児支援といった雇用主が提供する福利厚生は、企業やサービスにもよるが、90~425%のリターンを生むことがわかった。

 研究者たちは、米国の育児制度は不十分であると主張し、適切な育児サービスを提供できないがために雇用主は年間130億ドルものコストがかかっているという調査結果を引用している。研究者らが示したケア・ドットコムの調査では、保育が計画通りにいかずに生産性が損なわれたと約70%の親が主張しており、米商工会議所のデータによれば、58%は保育サービスが見つからずに離職している。