[モデレーター]
ポール G. ホフマン(Paul G. Hoffman)フォード財団 理事長

[パネリスト]
ピーター F. ドラッカー
(Peter F. Drucker)クレアモント大学院大学 教授
チェスター I. バーナード(Chester I. Bernard)ロックフェラー財団 理事長、ゼネラル・エデュケーション・ボード 理事長
ラッセル W. ダベンポート(Russell W. Davenport)著述家・編集者
ルイス・ガランティエール(Lewis Galantiere)ラジオ・フリー・ヨーロッパ 政策アドバイザー
ハリー D. ギデオンス(Harry D. Gideonse)ブルックリン大学 総長、ウッドロー・ウィルソン財団 理事長
フランク・タンネンバウム(Frank Tannenbaum)コロンビア大学 教授
ウォルター H. ホイーラー, Jr.(Walter H. Wheeler, Jr.)ピットニー・ボウズ 社長
アーウィン D. キャナム(Erwin D. Canham)『クリスチャン・サイエンス・モニター』誌 編集長

1900年からのアメリカを振り返る

 公共広告機構主催の本討論会は、1951年4月16日、ニューヨーク市内のウォルドルフ・アストリア・ホテルで開催された。討論会は朝9時30分に始まり、まずC. J. ラロシュ社長のチェスター J. ラロシュ氏が、公共広告機構を代表して開会の辞を述べた。

チェスター J. ラロシュ:本日はお忙しいなか、お集まりいただきまして、公共広告機構実行委員会を代表してお礼申し上げます。

 はじめに、本日はみなさんにとってハードな一日になるだろうと申し上げておきましょう。と同時に、午前の部と午後の部の両方にご出席いただければ──ぜひともそうしていただきたいのですが──まことに充実した一日になるはずです。

 私どもは、本日の討論会に大いに期待しつつ、とはいえ慎重に見守っております。これは知的遊戯ではありません。また、今日の最後に、万人受けするようなスローガンをぶち上げようなどとは思っていません。

 我々アメリカ人には、思想によって支配されることをそもそも嫌う傾向があります。思想そのものを生業にしている人たちもおりますが、こと思想となると──連邦憲法や権利章典もまさしく思想の一つですが──だれもが尻込みしがちです。

 しかし今日、我々はこの哲学的思想の分野において行動を起こす必要に迫られています。ほかならぬ国家安全保障のために、何を是とすべきか、何を支持すべきか、断固として主張しなければなりません。

 とはいえ、何らかの政治哲学を拠りどころとすることなく、そのような主張がはたして可能でしょうか。原理原則をたずねることなく、我々が何を是とし、何を非とするのか、本当にわかるのでしょうか。