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研究の概要
なぜ能力のない人が権力のある地位に上り詰めるのか。スタンフォード大学経営大学院博士課程のシラーン・アルザハウィが率いる研究チームは、その答えの少なくとも一部を見つけたと考えている。
研究ではまず、エグゼクティブ教育プログラムの参加者472人に、野心の度合いを自己申告してもらった。続いて、人々への動機づけ、共同作業の管理、人材の指導と育成、アイデアの提示と伝達など、リーダーシップに関する10の能力について同僚や部下、マネジャーから評価を受け、自己評価も行った。その結果、野心とリーダーシップ適性との間に関連性は見られなかった。
つまり、リーダーになりたいというだけで、なるべきだとは限らない。この結論についてアルザハウィに解説していただこう。
リーダーシップの能力は意欲で測れるのか

アルザハウィ(以下略):一連の結果には私たち自身が驚きました。社会科学では長年にわたり、階層が社会に広く存在するのは機能的だからだと考えてきました。集団の成功に最も貢献したメンバーに、より高い地位が割り当てられるというわけです。
カリフォルニア大学バークレー校ハーススクール・オブ・ビジネスのキャメロン・アンダーソン教授が主導した研究は、この見解を裏づけるものです。それによると、人々は集団内における自分の地位について、非常に正確な認識を持っている傾向があります。そして、自分が集団にさらに多くの価値を提供できると思う場合にのみ、より高い地位を求める傾向があります。
したがって、より有能な人ほど、リーダーシップに対して強い意欲を持っているはずです。一方で、能力のない人々が企業や学校、さらには国さえも運営していることがいかに多いかを考えた時、「リーダーシップへの意欲は、有能さを完璧に予測できる指標ではないかもしれない」と気づきました。