統合知によって複雑化した課題の本質を見抜く
――企業がそうした課題に直面している中、御社ではどのような価値を提供されているのでしょうか。
片岡 PwC Intelligenceが提供する価値と強みは「統合知」という一言に集約されます。PwC Japanグループが擁する多方面の専門家や情報機関・組織と連携し、マクロ経済・サステナビリティ・地政学・サイバーセキュリティ・テクノロジーといった領域を柱として、同じ課題に対して多様な専門的見地から分析し、一つの結論を導き出す。PwC Intelligenceはそうした統合知を提供しています。
その一環として、2024年4月に『経営に新たな視点をもたらす「統合知」の時代』を、今年(2025年)4月には続刊『世界の「分断」から考える 日本企業 変貌するアジアでの役割と挑戦』(いずれもダイヤモンド社)を上梓しました。後者では、世界情勢の今後を見通すうえで極めて重要なアジアに焦点を当て、復権を果たした中国とインドに対して「小国」の日本はどう対応していくべきなのか、「課題先進国」としての日本がどのようにアジアと連携し、社会課題の解決を図っていくべきかについて、統合知の立場から分析・提案をしています。
三治 統合知を提供できるのは、同じカルチャーの下、専門間の垣根を越えて、こうしてオープンに語り合える環境があってこそ。コンサルティング企業としての大きな強みだと思います。
村田 普段はそれぞれの専門を掘り下げていても、ひとたび集まれば瞬時にビジネス目線で話をすることができます。

執行役員 パートナー
村田俊博氏
片岡 そうですね。顧客企業の問題意識や多様な専門知に触れながら議論するからこそ、それぞれが自分の専門知を問い直しつつ、プラクティカルな提案や解決策の提示ができるのだと思います。私はマクロ経済の専門家ですが、たとえば三治さんから「介護には今後こんなテクノロジーを使えそうだ」といった具体的な話を聞くことで、手触り感のある経済見通しを立てることができます。
三治 たとえば、「介護の人手不足解消のために介護ロボットを」といった議論がありますが、テクノロジー側から言わせてもらえば、コストや運用面で持続可能な解決策は、今ある介護ロボットを単に導入することではありません。介護ロボットやテクノロジーから見た場合の生産者や供給側のインセンティブも考慮しないと真の意味での課題は解決されません。だから、物事を多面的に見る統合知が大事なんですね。
片岡 「目線/視点を変える」ということは、経営戦略や事業を考えるうえでも絶対に必要です。言い換えるなら、さまざまな課題に対して、どうピボッティングしていくのか。日本企業にも当然「よさ」はあるわけですから、自分たちの事業の本質を捉えて内在的に考えていくことが、変革への第一歩なのだと思います。
――最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。
片岡 前向きに、かつ健全な考え方に基づいてビジネスを動かしていくことが大事だと思います。PwC Intelligenceとしては、先が見通せない中で企業に羅針盤として活用していただけるよう、取り組みをより強化し、真に役立つ知見を提供していきたいと思っています。
三治 AIをめぐる議論が示すように、テクノロジーの活用においては目的や価値観、つまり、問いを立てることが極めて重要です。そのことをしっかり認識していただくと同時に、PwCのカルチャーがどういうものなのか、まずは著作を通じて読み取っていただけたら嬉しいですね。
村田 変化を求められる一方、どんなアクションを起こしていいのかがわからないのであれば、私たちと話をするところから始めてみてはどうでしょうか。あまり構えず、「壁打ち」をするくらいの感覚で気軽にお声がけいただければと思います。
『世界の「分断」から考える 日本企業 変貌するアジアでの役割と挑戦』
PwCコンサルティング合同会社 PwC Intelligence 著
定価:2750円(本体2500円+税10%)
発行年月:2025年4月
再び世界に重きを成すことが予想される中国とインド、さらにこの両国に挟まれる形で存在するその他のアジア諸国の動向を、先行きのリスクや可能性とともに把握しておく必要性が増している。本書では、第Ⅰ部でアジアの各国・地域別の動向を概観しつつ、その中での日本企業の機会や課題を論じ、第Ⅱ部では日本企業がアジアおよび世界を取り巻く社会課題・トレンドをどう捉え、機会を見出すべきかを解説している。
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