【HBR CASE STUDY】

[コメンテーター]
ジム・グッドナイト
(Jim Goodnight)SAS Institute CEO
マーク・グールストン(Mark Goulston)精神科医
J. マイケル・ローリー(J. Michael Lawrie)シーベル・システムズ CEO
クレイグ・チャップロー(Craig Chappelow)センター・フォー・クリエイティブ・リーダーシップ シニア・マネジャー

[ケース・ライター]
ブロンウィン・フライヤー
(Bronwyn Fryer)HBR シニア・エディター

*HBRケース・スタディは、マネジメントにおけるジレンマを提示し、専門家たちによる具体的な解決策を紹介します。ストーリーはフィクションであり、登場する人物や企業の名称は架空のものです。経営者になったつもりで、読み進んでみてください。

伸びない売上げに悩む新任CEO

 9歳のジルはいらだちの余り、鉛筆を机に叩きつけた。

「文章問題って大嫌い」

 ジルはイライラが募り、しかも腹を空かせている様子だった。小学4年生の彼女にすれば、今日は長い一日だったようだ。しかし、それはジルだけではなかった。

 妻が母親のところへ出かけたため、ジョージ・ラトゥールは子どもたちと会社の両方の面倒を見なければならなかった。

 ジョージは家庭ではよき父親、会社ではよきボスであると自負しており、今日のように妻が外出した時には、自分のスタミナと明るさに我ながら感心していた。