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利益相反は受託者義務を忘れた証拠
ニューヨーク州司法長官、エリオット・スピッツァーは、投資信託ならびに投資銀行という2つのまたがる業界の捜査を指揮してきた。この経験が、ガバナンス改革の旗手として、彼を世に知らしめることになる。
スピッツァーは、アメリカ国内の投資銀行とリサーチ・アナリスト、そして投信会社の利益相反を暴いた。その結果、2003年、検察当局と複数の金融機関の間で、和解金14億ドルに上る世界的な司法取引が交わされる。それ以降、彼が率いるニューヨーク州検察当局は、投資信託業界の不正行為の数々を摘発し、そのたびごとに注目を集めてきた。
スピッツァーはプリンストン大学を卒業後、ハーバード・ロースクールに学び、そこでは『ハーバード・ロー・レビュー』誌の編集者を務めていたというキャリアの持ち主でもある。
『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌のコンサルティング・エディターであるルイーズ・オブライエンは、ニューヨーク市内のオフィスを訪ね、彼に以下のようなインタビューを試みた。このなかで、彼は昨今の企業不祥事の原因について分析するのみならず、顧客は業績以上に重要な存在であることを我々に思い出させた。
さらに「受託者義務」(fiduciary duty)──株主への義務にせよ、顧客への義務にせよ──というきわめて重要な概念を、あらためて企業組織全体に植えつけることをあらゆるビジネス・リーダーに呼びかけている。
また、投資信託業界を例に引き、検察の価値と規制の価値とを対比させながら、自由市場を保護するうえでの官の役割──重要でありながら、かつ驚くほど限定的である──を具体的に説明している。
HBR(以下色文字):アメリカ産業界ではいろいろな問題が多発していますが、ここに通底する本質とは何でしょう。企業倫理が低下しているのでしょうか。それとも単に我々がこれまで以上に厳しい眼差しを向けているからなのでしょうか。