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【HBR CASE STUDY】
[コメンテーター]
デイビッド E. ミーン(David E. Meen)元マッキンゼー・アンド・カンパニー ディレクター
ケイ・レドフィールド・ジャミソン(Kay Redfield Jamison)ジョーンズ・ホプキンス大学 医学部 教授
ノーマン・パールスタイン(Norman Pearlstine)『タイム』誌 編集長
リチャード・プリマス(Richard Primus)ミシガン大学 助教授
[ケース・ライター]
ダイアン L. クーツ(Diane L. Coutu)HBR シニア・エディター
*HBRケース・スタディは、マネジメントにおけるジレンマを提示し、専門家たちによる具体的な解決策を紹介します。ストーリーはフィクションであり、登場する人物や企業の名称は架空のものです。経営者になったつもりで、読み進んでみてください。
寝入りばなの電話
ハリー・ビーチャムの睡眠が一日5時間を超えることはめったにない。これも一流の経営コンサルティング会社、ピアース・アンド・カンパニーのディレクターゆえの代償といえる。
ピアースはマンハッタンを本拠地に、42カ国に支社があり、近々さらに2つ開設される予定だ。ハリーは先月も、ヒューストンとシカゴからロンドン、ベルリン、イスタンブールへと飛び、はては北京とシンガポールと駆け回っていた。今夜、1泊だけのためにロンドンに戻ってきた。
時差ぼけと極度の疲労のため、10時頃に眠りについた。サボイ・ホテルのフロントデスクにどんな電話も取り次がないように頼んである。しかし1時間後、携帯電話が鳴った。「だれだ、まったく」。不満を口にしながら、寝返りを打って灯りを点けた。
「ハリー、カールだ」。カール・フォン・シュベリンはピアースのベルリン支社のディレクターで、ハリーの親友である。機会があれば必ずセントアンドリューズで一緒にゴルフを楽しみ、お互いが相手の子どもの名づけ親でもある。
「起こしてしまって申しわけないが、キャサリーナからとんでもないeメールが入ってきている。何かとんでもないことになっているようだ」