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【HBR CASE STUDY】
[コメンテーター]
フランシス N. ボンシニョール(Francis N. Bonsignore)マーシュ・アンド・マクレナン シニア・バイス・プレジデント
ミッシェル L. バック(Michelle L. Buck)ノースウエスタン大学 ケロッグ・スクール・オブ・マネジメント 准教授
ジョナサン・ヤンガー(Jonathan Younger)ナショナル・シティ リーダーシップ開発プログラム 責任者
トーマス・レパート(Thomas Leppert)ターナー・コーポレーション 会長兼CEO
[ケース・ライター]
フランク V. セスペデス(Frank V. Cespedes)センター・フォー・エグゼクティブ・ディベロップメント マネージング・パートナー
ロバート M. ガルフォード(Robert M. Galford)センター・フォー・エグゼクティブ・ディベロップメント マネージング・パートナー
*HBRケース・スタディは、マネジメントにおけるジレンマを提示し、専門家たちによる具体的な解決策を紹介します。ストーリーはフィクションであり、登場する人物や企業の名称は架空のものです。経営者になったつもりで、読み進んでみてください。
代役が立つ舞台
ノーマン・ウィンダムの自宅から、タイムズスクエアのすぐそばにあるエトワール劇場までほんの数ブロックだ。劇場では数週間前から『歌うシナトラたち』が上演されている。ティバートン・メディアにとって重要なミュージカルであり、「そろそろ観に行かなければ」と考えていた。
ロンドンに拠点を置く同社は、ノーマンが会長を務め、経営権を握る巨大コングロマリットである。ティバートンがこのショーに投資したのはほんの700万ドルで、同社ほどの規模の企業にすれば、利益を大きく左右するような投資ではない。
ノーマンは、このミュージカルがシナトラの曲への関心を改めてかき立てるはずだろうと考えていた。何しろノーマンは前の年、一連のシナトラの曲の権利を巨額の資金を投じて買い取っていた。
実のところ、ノーマンは今年で62歳になる。ティバートンでは、クラシックと音楽関連の出版や雑誌に携わってきた。したがってポップスには明るくない。とはいえビジネスチャンスを見極める才には、それなりに自負があった。