【HBR CASE STUDY】

[コメンテーター]
チャン・スー
(Chan Suh)エージェンシー・ドットコム 会長兼CEO
エド・ナスバウム(Ed Nusbaum)グラント・ソーントン CEO)
ジョン J. マルヘレン(John J. Mulherin)ジーグラー・カンパニーズ 社長兼CEO
トム・コープランド(Tom Copeland)モニター グループ マネージング・ディレクター

[ケース・ライター]
マーク L. フリーゴ
(Mark L. Frigo)デポール大学ケルシュタット経営大学院 特別教授
ジョエル・リットマン(Joel Litman)クレディ・スイス・ファースト・ボストン CSFB HOLT ディレクター

*HBRケース・スタディは、マネジメントにおけるジレンマを提示し、専門家たちによる具体的な解決策を紹介します。ストーリーはフィクションであり、登場する人物や企業の名称は架空のものです。経営者になったつもりで、読み進んでみてください。

アナリストたちの手厳しい質問

 ファースト・レンジウェイ・コンサルティングのCEOであるケン・チャールズと、CFOのマット・フェアは会議室の机で向かい合い、お互いリーガルパッドに何か書き込んでいた。

 目の前のヒトデ型のスピーカーホンからは、いろいろな人の声が次々聞こえてくる。マットは耳をそばだて熱心にメモを取っていた。かたやケンは動物の絵を落書きしていた。

 これは彼の習い性で、一人でいる時や親しい同僚と一緒の時にやり始める。ケンは「会議の間じゅう、私がイヌの絵を描いているとはだれも思わないだろうね」と冗談を飛ばすのが好きだった。彼にすれば、落書きは精神統一法の一つだった。

 しかし、いまはビクトリア・マイケルズの話を聞きながら、ペンを軽快に走らせている。彼女はプロフェッショナル・サービス会社の株式を担当している、一流のセルサイド・アナリストである。

 ビクトリアはファースト・レンジウェイのコスト管理手法と利益率の向上については称賛したものの、クィーンズ英語を忘れて「ですが、売上げは前期から横ばいですね」と早口に言った。「いつ、どの部門で売上げが増えるとお考えですか。また規模はどのくらいですか」