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[聞き手]HBRシニア・エディター:ダイアン L. クーツ
CEOの精神分析家ケッツ・ド・ブリース
世界中が、リーダーシップ、リーダーシップ、リーダーシップだ。
これまで出版された何千冊もの本は、イエス・キリストからアメリカ第三代大統領のトーマス・ジェファーソンまで、偉大な指導者たちのリーダーシップ・スタイルを解剖したものだ。その多くはベストセラーになっている。ビジネス書の著者たちもこの熱狂ぶりに油を注いだ。
問題は、リーダーシップについて書かれたビジネス書の多く——指導者に関する一般書とは異なり——は「リーダーとは理性的な存在である」という前提に立っている点である。その一因は、読者たちがこれらリーダーシップ本に何らかのアドバイスを求めているからだろう。
ロールモデル(お手本)のモチベーション技法、行動や意思決定にどのように倣えばよいのか、役に立つ助言を仰ごうと、これらビジネス書を買う。アドバイスを与えるべき本である以上、リーダーの不条理な面に焦点を当てることはほとんどありえない。そのロールモデルの成功は、実は精神的な脆さに由来しているかもしれないなどと、指摘することはいっそう稀である。
ところが、この不条理は人間の性格とは切っても切れない関係にある。また、精神的な葛藤が成功欲を駆り立てるのに大きな役割を果たすこともある。
したがって、CEOの精神分析を実施し、子どもの頃の個人的な体験がいかにその後の行動様式を形成したのかを探ったり、リーダーたちは挫折や精神的苦痛にどのように対処するのかを理解したりすることのメリットは確実に存在する。
何人かの経営学者、特にハーバード・ビジネススクールのアブラハム・ザレズニック教授とハーバード・メディカルスクールのハリー・レビンソン名誉教授は経営幹部たちの心理を掘り下げているが、CEOの心理分析をライフワークとしたのはただ一人、マンフレッド・F・R・ケッツ・ド・ブリースだけだ。