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価格に関する消費者の知識はいい加減
では、お答えください。次の品物の妥当な値段はいくらでしょう。
・6オンス入りヨーグルト
・35ミリ・フィルムの4本パック
・DVDプレイヤーつきテレビ
即答できなくともご安心を。それが普通である。消費者は、ほとんどの場合、商品の適正価格をよく知らないままに買い物をしているのだから。
フロリダ国際大学教授ピーター R. ディクソンとフロリダ大学教授アラン G. ソーヤーの共同研究では、調査員にクリップボードを持たせ、在庫調査をするふりをしてスーパーの棚の前に立たせ、客が品物をカートに入れるたびに、その値段を尋ねさせた。
しかし、その値段を正確に答えられた客は半数に満たなかった。ほとんどの人は、値段を実際より低く答え、さらに、当てずっぽうに答えた人も20%以上いた。本当の価格など、まるで見当がつかないのが実際である。
TV番組『ザ・プライス・イズ・ライト』のファンなら、このことに驚きはしないだろう。同番組は、1972年からCBSの昼間の看板番組となっているが、商品パック、電気器具、自動車など小売商品の値段を回答者に当てさせる一種のクイズ番組である。彼らの回答がいかにでたらめか、これが話題になるほどで、正解から50%以上ずれることも珍しくない。
現実を題材にするTV番組のなかでも、いちばん現実を映し出しているものだろう。消費者の市場知識は何ともひどいもので、ほとんど知識の名に値しないほどだ。このような情報格差は、買い物をするうえで大きな障害になるだろう。
たとえば、女性がブラウスを購入しようという場合、いくつかの選択肢が用意されている。「すぐに買う」「同じ店でもっと安いものを探す」「別の店に足を運んで値段を比べる」「バーゲン品になるのを待って買い控える」などである。
事前に情報を仕入れたうえで購買を決定する場合、ただ目の前の値札を見るだけでは不十分である。他の品物の値段を知り、他の店での値段を知り、さらには将来の値段も考えなければならない。
日々、だれかしらブラウスを購入している。みな損得など気にしないのだろうか。それとも、値段を比べることなど考えもしないのだろうか。いや違う。その理由は意外なことに、適正価格かどうかについて、小売店を全面的に信用しているからなのだ。